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ともあれ、あいうえお順なら理論も整然。掃除記のこと
ともあれ、あいうえお順なら理論も整然。掃除記のこと

 ニコニコで懐かしのゴーストスイーパーが上がっていたので、8話まで見る。そしたら朝の7時です。それじゃあ小説でも書こうかというわけのわからんテンションでできた作品です。30分ほどで。
 しかし、こんな小説でも部員といろいろ吟味できて、文章表現における視察の参考になりました。勢いはいいかもしれません。
 一応、一人称は磨葉っぽいので、このシリーズ。個人的には、マーメイドメイドのとき、莨谷が磨葉の家に掃除をしにくるシーンがあるが、その省かれた部分のつもりで書いた、かもしれません。ほら、『今回はそういう話』という部分が遂になってるでしょう?

以下本文です。
ともあれ、あいうえお順なら理論も整然。掃除記のこと
理之貫

 好きな順番が整理のコツ
 掃除機の使い方には悪魔が宿る
 湿地沼地も心の奥から理路整然

やっとこさ口を開いた彼女の第一声はそもそも言語だなんていう文化的なものからかけ離れた所謂、悲鳴だった。
「いやですよぉ、こんなの」と言う。
「そもそも」僕は続ける。「このお鍋とその一味は君に非がある」
「それをそのまま放置し続けた先輩が諸悪の根源、悪の源、黒幕なのです」
「獅子は自分の仔を谷に突き落とすという」
「関係ない事を言って誤魔化さないでください」
「黒幕の語源は、歌舞伎で舞台を変える時に用いる黒い幕だ」
「微妙に関係ある事を言って仄めかさないでください」
「少年よ、正義を抱け」
「間違い方が間違ってます」
「あり、をり、はべり、ちまちょごり」
「いまそかり」
「隣の客は東京特許生卵」
「もう、何から突っ込んでいいのやら」
呆れ果てるように、ぺたんと絨毯に座り込む。
名前は莨谷(たばこだに)めがみ、と言うんだったはず。
「久しぶりに先輩を訪れてみたら、この様。一体、何をしてたんですか?」
「何もしてないけど?」
「それが駄目なんですよっ! ちょっとは自分の管理をしてください」
「でも、僕は今日もこうして何不自由なく元気に生きているわけだし、これは余計な管理をする必要がないという根拠だ」
「台所! お風呂場! リビング! 全然掃除できてません!」
「使ってないからね」
「掃除をするという気がないんですね?」
「いや。掃除をするという発想がなかった」
「あ、そうですか」
「そうですが」
「分かりました」
「分かりましたか」
 彼女は立ち上がる。
「では、今から掃除しましょう。一緒に。これで先輩の無駄なロゴス脳に掃除という古来より日本に馴染んできた素晴らしい文化をインプットできるでしょう」
 今回はこういう話。らしい。
 そもそも、彼女は無駄に僕の下宿に現れた。
 そして、こうなる。多分、想像は容易。というかそのまんま。
「まず」と彼女は台所に行く。「この流し」
「あ、そこが台所なんだ」
「まず、この流しです。なんで、流しに水が溜まってるんですか?」
「溜めた覚えはないね。じゃあ何かが詰まっている」
「そうでしょうきっと。きっときっと排水溝にゴミが溜まってるんですよ」
「きっときっときっとそれを取り除けば水は溜まらない」
「では、先輩。この沼地と化した流しに手を入れて、さっさと排水溝を取り外してください」
「待って。ヒルとかいない?」
「いないはずです」
「さっきから何かが泳いでない?」
「こんなところで泳いではいけません」
「流しを奇麗にしてしまったら、ここに住んでいるもの達はどうなるの?」
「ここには何も住んでいないと信じてください」
「これは歴とした環境破壊だ」
「というか、これそのものが環境破壊ですよ。つべこべ言わずに、排水溝を外してください。というか、この家にはゴム手袋とかないんですか?」
「紙コップならあるよ」
「もういいです。早くしてください」
 僕は排水溝を外す。
 でも水はそのまま。
「中も外してください」
 僕は中の部分を取り出す。
 ごごごっと地響きを立て、水が引いて行く。
 中から、食器類が顔を出した。
「おお、ダムの底に沈んだ村が顔を見せたみたい」
「全くですよ」
「秘密の入口とか」
「さあ、食器を洗いますよ」
「へえ、こんな食器、僕は持ってたんだね」
「見覚えがないものまであるんですか。というか、この
お箸はもう汚れがこびり付いて使えません」
「なんで?」
「もう汚れが取れないんですよ」
「何をしても?」
「どうしても」
「じゃあ安心だよ。それで食物を食べても、汚れが取れないなら無毒。取れない汚れは模様。これは掃除のコツだ」
「掃除を勘違いしないでください。まったく、洗剤もまだ新しいままじゃないですか」
「持ちがいいの。僕は一つの洗顔クリームを七年半使ったんだからね」
「一体、実際に顔を洗ったのは何日なんですか?」
「ねえ、洗うのはいいけど、置き場なんてないよ」
「ありますよ。ほら、棚の奥に食器棚があります」
「食器棚がにぎやかになるね」
「…………」

「次は、お風呂場です」
「風呂場は駄目。今、水圧の実験してるから」
「あ、そうですか」

「いよいよリビングですね」
「いよいよ。待ちに待った」
「待ってませんよそんなに」彼女は続ける。「絨毯部分は洗って干しましょう。まず掃除機をかけましょう」
「なんで? 散らかしてないよ」
「見てください。埃や髪の毛だらけですよ」
「それは僕のじゃないよ。だって僕はこの下宿にはほとんど帰って来ないんだし」
「それでも先輩しかいないじゃないですか」
「きっと君のだよ、全部」
「私の方が先輩よりここにいる回数は少ないですよ」
「今さっきの君の髪。これ全部、今さっき抜けたんだよ」
「私は病気ですか……」
「僕が悪いんじゃない」
「埃だって落ちてますよ」
「これは勝手に落ちたんだ。僕が落としたんじゃない」
「ああ、もう。この人、アホの人です」
「それはそうと掃除機はないよ」
「隣の人に借りましょう。この現場を見せれば百パーセント貸してくれます」
「それはそうと隣の人もいないよ」
「いますよ。私、さっきすれ違いましたよ」
「でも、郵便受けはいつも空だよ」
「……つまり、先輩は郵便受けも放置してらっしゃるんですね」

「掃除機を借りてきました」
「免許とかいらないよね」
「もう突っ込みませんよ」
 彼女は掃除機を起動させる。
 またもや地響きが部屋に響く。
「その隙に、僕は本の整理を」
「なんか、先輩、ラク」
「ついでに、初期設定資料も整理」
「何の設定なんですか?」
「トランプも順番通りに」
「暇なんですねぇ」
「目覚ましもセットする」
「ご勝手に」
「シャー芯ケースも整理」
「いや、それは捨ててください」
「算数セットも整理」
「まだ持ってたんですか! 小学一年生の時に貰う算数セット」
「君はサイコロやオハジキの便利さを理解していないのか?」
「いやまあ、それはそうですけど」
「お道具箱も整理」
「まだ持ってたんですか! 小学一年生の時に揃えたお道具箱」
「君はハサミやノリの便利さを理解していないのか?」
「いやいや、その箱は捨ててくださいよ。何歳ですか?」

「洗濯物はどこでしょう?」
「干してないよ」
「すると、洗濯籠とかにあるんですか?」
「洗濯籠がないよ」
「でも、洗濯機の中も空」
「僕はリサイクルしてるからね」
「それを言うならリユースです」
「リサイクル、リユースとくればリデュース」
「止めてください。ちゃんと着てくださいよ」

「とにかく。この一帯の衣服はすべて洗い直します」
「そういうの、疑心暗鬼っていうんだよね」
「何とでも言ってください」
「でも、諦めたまえ。この家に洗剤などない」
「あります。私が買って来ました。掃除機を借りに行く時に」
「それは本当に洗剤なのか? 白い不思議な粉じゃないのか?」
「洗剤です」
「とっても幸せになれる気持ちのいい粉じゃないの?」
「そんな誰もいない港で繰り広げられる怪しい取引の品みたいに言わないでください」
「それをどうするつもりだ?」
「こうするつもりです」
 パック式の洗剤の封を切る。
「先輩はさっさと衣服を洗濯機に詰め込んでください」

「押し入れの整理をしましょう」
 がらがら、と彼女は押入れを開ける。
 取り敢えず、大きなダンボール箱を出した。
「軽いですね。何が入ってるんですか?」
「何も?」
「は?」
「これは何かを入れる箱じゃなくて、箱としての箱なんだよ」
「そんな『君が君だから好きなんだ』みたいなキャンディーキャンディーみたいなことを言わないでください。捨てます」
「待ってよ。何かに使えるかもしれない」
「今使えないものはいつまで経っても使えません」
「じゃあ、今使う。今日からこの箱は図書館だ」
「意味分かんないですよ!」
「この箱を掃除機の設置場所にしよう」
「返すんですよ? この掃除機は返すんですよ?」
「借りた時のためにこれはある」
「というか、別に掃除機にダンボール製の設置場所はいりませんよ」
「いや、貸し借りが便利になる」
「これに入れて相手に手渡すんですか?」
「ざっつ、らいと」
「そんな無理やり使わなくていいですよ」
「今度の学祭でいるかもよ?」
「あと八カ月。がんばれ」
「このダンボールで金閣寺の模型を作る予定なの」
「それにしても。このダンボールの数は異常です。捨ててください」
「この押し入れはダンボール以外、入ってないよ」
「ああ、なんて人なんですか」
「あ、防虫剤があった」
「なんて無駄な」
「たまに、この中で寝る」
 ごとごとっとまた地響きがうねり響く。
「何の音ですか?」
「洗濯機だね」
 彼女は洗濯機の蓋を開ける。
「入れ過ぎですよ。何考えてるんですか?」
「まずいの?」
「全然回転してないですよ。ぶるぶる振動してるだけじゃないですか? これじゃ洗剤も溶けません」
「大丈夫。溶けるように量は三分の一にした」
「それじゃあ意味がないです」
「そうかなあ」
「そうですよ。もう、洗濯は自分でしかできないんですから、きちっとしてください……あ、」
 と彼女は台所の方に行く。
「先輩、先輩ぃ!」
「今度は何?」
「ピーラー出しっぱなしですよ。ちゃんと閉まってください」
「いや、今晩当たり使う可能性が高そうだったから出しておいた。しまわないデメリットあんまりなさそうだったし」
「危ないですって。もし強盗が来たらどうするんですか?」
「落ち着いて。強盗がピーラーなんか持って襲ってきてもそんなに怖くないよ。寧ろ、入り込んだ家の台所に偶々あったピーラーを武器にする強盗なんて高が知れてるよ」
「何があるか分りませんよ。最後の最後で、その強盗はピーラーで恐ろしい何かを完成させてしまうかもしれません。ああ、あのとき、ピーラーを閉まっていればって」
「でも、逆に、僕は襲って来た強盗に対し、最後の最後で万事解決する快刀乱麻な何かをピーラーで完成できるかもしれないよ。ああ、あのとき、偶々ピーラーを出して置いてよかったって」
「……言われてみればそうですけど。でも刃物は危ないです。昔からの知恵ですよ」
「馬鹿とハサミは二日酔い。惜しくも、アナグラムにならない」
「とにかく、しまいますね。そして、洗濯物を干します。
天気いいですし」
「この東京ドームに詰め込んだ人ごみのような量の洗濯物を裏返すというのか」
「まあ、それがベストですが、今は冬ですし、そのままでもいいでしょう」
「そうだね。もう裏返すのは卒業だ」
「……何か、勘違いされているような」
「あ、そもそも裏側で洗ってた」
「あぁ、意味がない」

 そして、彼女は掃除機を返す。
 ダンボールに入れて。
「あの、今日からこれは掃除機設置場所になりました。ありがとうございました」
「ええ。ご親切にどうも」
 隣の御姉様は上機嫌だったらしい。
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テーマ:小説 - ジャンル:小説・文学

【2008/04/10 21:53】 | 理屈通しシリーズ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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